お茶のあれこれ

お茶は優れた健康飲料!歴史に見るお茶と人間のステキな関係とは

2023.11.9

私たちの日常生活にしっかりと根付いている飲み物、お茶。

食事をするときもおやつをいただくときも、お茶は私たちにほっと一息つかせてくれる、ありがたい飲料です。

これほど深く日常に溶け込んでいるお茶には、どんな歴史があるのでしょうか。欧米のお茶事情にも触れながら、お茶の歴史を解説します。

お茶の起源はアジア!

お茶といえば緑茶を思い浮かべますが、茶という植物はツバキ科の常緑樹。
この茶の木からは、緑茶だけではなく、紅茶やウーロン茶が生産されています。

茶の起源は、一説によればビルマ(ミャンマー)にあるとされています。
この地から中国の雲南をはじめアジア各地へと伝播し、やがて世界へと普及していったのです。

日本におけるお茶の歴史

私たちの身近にある緑茶は、いったいいつごろ日本に渡来したのでしょうか。
数々の偉人も関連する日本のお茶の歴史を、少しばかりひも解いてみましょう。

聖武天皇も飲んでいた?お茶のはじまり

茶を喫する風習は、中国から日本へと渡来しました。

最も古い記録では、天平の時代(8世紀)、百人の僧を招いて行った大イベントで、聖武天皇が文武百官に茶を賜ったと伝えられています。

聖武天皇像

また9世紀、遣唐使として現在の中国に渡り日本の仏教に大きな影響を与えた最澄や空海も、茶の種子を持ち帰ったという記録があります。

当時のお茶は大変珍重されていて、天皇をはじめとする上流階級の人しか口にできない高級品でした。

お茶は薬だった?喫茶習慣は鎌倉時代から

お茶を飲むという風習が広がっていったのは、鎌倉時代の僧であった栄西と明恵上人に因るところが大きいといわれています。それまでのお茶は、都の内蔵寮薬殿という場所で製茶され、薬用として飲まれるのが通常だったのです。

栄西が著した『喫茶養生記』は、茶の効用を説いた日本初のお茶の専門書といわれ、これを機に喫茶という慣習が普及していきました。

静岡や宇治、狭山といった銘茶の産地は、栄西から伝えられ明恵上人が植えた茶の木が、その起源となったという伝説もあります。

また駿河(現在の静岡)には、13世紀に入って聖一国師という高僧が現れ、茶の木を広めたという言い伝えも残っています。

静岡茶は実に、700年以上の歴史を誇る食の遺産なのです。

世界へと広まった近代のお茶

江戸時代の末期には茶の一大生産地として名を馳せていた駿河や遠江は、明治時代を迎えると栽培技術も飛躍的に向上します。

特に清水港を有する静岡県は、明治時代に輸出量を増やして、お茶の生産を近代産業へと発展させました。

現在はお茶の生産日本一を誇る静岡県。実に全国の茶畑面積の40%は、静岡県にあるといわれています。

第2次世界大戦後は優良品種も増え、お茶は現在も現在進行形の食文化として、世界から注目を浴びているのです。

静岡県掛川市の茶畑

世界の中の日本茶、その変遷

お茶は健康的な飲料であるという認識は、もはや世界中で共有するイメージとなっています。

いったいなぜ、日本茶はこれほど世界から注目されるのでしょうか。
その変遷をたどってみましょう。

ヨーロッパとお茶の関係は?

ヨーロッパの人々がお茶を知ったのは、16世紀半ばのことでした。

ヨーロッパというと紅茶というイメージがありますが、オランダの東インド会社によって最初に運ばれたお茶は、緑茶であったことがわかっています。

オランダからフランス、イギリスへと伝わった緑茶は、18世紀に紅茶が普及するまで、ヨーロッパの上流階級の人々に非常にもてはやされた超高級品でした。当時の人々は、緑茶にミルクや砂糖を入れて飲んでいたのだとか。

いったいどんな味わいだったのか、興味がわきますね。

和食ブームで脚光を浴びるお茶!

19世紀は紅茶の時代、20世紀はコーヒーの時代、21世紀は緑茶の時代だといわれておりますが、日本の緑茶は欧米では近年まで余り知られておりませんでしたが、日本食レストランの普及と日本食ブームでお茶は再び脚光を浴びています。

2015年にはミラノで食をテーマにした万博が開催され、ユネスコの世界遺産にも認定された和食とともに、緑茶は日本の美味として若い世代にも人気を博すようになったのです。

世界に知られるようになったお茶の効能

日本茶の機能性を題材とした研究者をはじめ、海外ではハーバード大学など、さまざまな研究者によって、お茶が持つ機能性が明らかとなり、茶の効能は健康志向の人を中心に需要が一気に高まりました。

お茶に含まれるカテキンやビタミンCには抗酸化作用があり、覚醒作用を持つカフェインも含まれています。テアニンによる癒しの効果や、フッ素による虫歯予防まで認められているのです。

欧米の女性誌でも、健康面のメリットを強調したお茶の特集が組まれることが珍しくありません。

長い歴史を持つお茶は、美味しさだけではなく人々の健康を支えることで、世紀を超えて私たちに伝えられているのかもしれませんね。

<参照元>

・小学館日本大百科全書「茶」

・平凡社世界大百科事典「茶」

・静岡県
https://www.pref.shizuoka.jp/kensei/information/myshizuoka/1002256/1040939/1011293.html

・静岡県茶業会議所
https://shizuoka-cha.com/index.php/ocha

・JA静岡市
https://ja-shizuokashi.or.jp/speciality/green-tea/rekishi_yabukita

・お茶のまち静岡市
https://www.ochanomachi-shizuokashi.jp/knowledge/efficacy/

・公益社団法人千葉県栄養士会
https://www.eiyou-chiba.or.jp/commons/shokuji-kou/health_and_diet/nihontya/

・東京都茶協同組合
https://www.tokyo-cha.or.jp/article/dentist-and-green-tea.html

・伊藤園
http://www.ocha.tv/history/western_tea_history/

・Harvard TH Chan School of Public Health
https://www.hsph.harvard.edu/nutritionsource/food-features/tea/

・Vogue Italia
https://www.vogue.it/bellezza/article/te-verde-te-nero-quale-scegliere

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