お茶を飲んだことのある誰もが、少なからず苦味や、渋味といった味覚を感じたことがあるかと思います。
この苦みや渋みはなぜ感じるのか、その主成分についてご紹介していきます。
苦味、渋味は味の引き立て役
単純に苦い、渋いと聞くと良いイメージを持たれない方も多いかと思います。
ですが、お茶に関して言えば、この苦味と渋味がお茶の旨みや甘みを引き立ててくれていて、さっぱり爽やかな後味もこの味覚のおかげでもあります。
具体的にどういった成分が影響しているのか説明していきます。
お茶の主成分について
お茶には多くの栄養成分が含まれます。主要成分としてカテキン類、アミノ酸類、カフェインがありますが、お茶に旨味をもたらすのが「アミノ酸類」、そして苦味、渋味を感じさせるのが「カテキン類」「カフェイン」です。
カテキン類
苦味や渋味の素となる主成分で、抗酸化作用など健康効果があることで注目されています。
カテキンの抗酸化作用ってなに?
呼吸で取り込んだ酸素の一部は、活性酸素になります。活性酸素は、酸化力が強いがゆえに体内で必要以上に蓄積されていくと正常な細胞をも攻撃して酸化を引き起こし、がんや生活習慣病などのリスクを高めます。
抗酸化作用とは、増えすぎた活性酸素を取り除き、酸化からカラダを守ってくれる働きのことです。
カテキン”類”としているのはお茶に含まれているカテキンは1つではないからです。
お茶に含まれるカテキンは次のとおりです。
- エピカテキン(EC):遊離型
- エピガロカテキン(EGC):遊離型
- エピカテキンガレート(ECg):エステル型
- エピガロカテキンガレート(EGCg):エステル型
遊離型に分類されるカテキンは渋味がほとんどありません。一方で、エステル型のカテキンは強い苦味と渋味を持っています。
緑茶に最も多く含まれるのはエスエル型に分類されるエピガロカテキンガレート(EGCg)です。
エステル型カテキンは低温では浸出しにくい性質があるため、冷茶で淹れると苦味や渋味が抑えられるといった理由はここにあるわけです。
カフェイン
コーヒーに多く含まれていることで知られているカフェインですが、お茶にも含まれています。植物由来の成分で、苦味とともに眠気を覚ます効果があります。
カテキンほどの苦味はありませんが、お茶の味を決定付ける上では欠かせない成分でもあります。お茶からカフェインをとってしまうと、美味しいお茶が持つ特有のさっぱりした苦味が失われてしまいます。
100mlあたりに含まれるカフェイン量
玉露: 160mg
煎茶: 20mg
番茶: 10mg
ほうじ茶: 20mg
ウーロン茶: 20mg
紅茶: 30mg
コーヒー: 60mg
玉露、煎茶、番茶と続くことから、早く摘んだ高価なお茶になるほど、カフェインが多く含まれていることが分かります。
カフェインには眠気を覚ます以外にも様々な効能があります。
- 運動中の疲労感を軽減
- 集中力を高める
- 代謝の向上
このようにカフェインにはお茶の味に作用するだけではなく、様々な効果が期待できます。
ただし、過剰摂取は体に悪影響が出ることもありますので、適量を摂取するようにしましょう。
WHO(世界保健機関)から発表されている1日のカフェイン最大摂取量は300mgとなっています。
緑茶(煎茶)に含まれるカフェイン量は100mlあたり約20mgになりますので、1杯あたり約30mg(一般的な湯呑150ml)の摂取と考え、1日10杯程度を目安にするのが良いでしょう。
まとめ
お茶の苦味と渋味の素となる成分と、その重要性と健康効果についてご紹介しました。
旨味と甘み、苦味と渋味、それぞれの味覚を絶妙なバランスで楽しめるのも、お茶だからこそです。
「苦い」「渋い」といった味も、カテキンとカフェインが作用していることを知りながら飲むことで、また違ったお茶の楽しみ方ができます。
ぜひ覚えていただけると嬉しいです。