お茶のあれこれ

日本三大銘茶とは?特徴の違いやおすすめブランドを紹介

2024.5.3

私たちが毎日飲んでいる日本茶は、全国の様々な場所で作られています。

その中でも、特に品質が良いお茶は「三大銘茶」と呼ばれるのをご存じでしょうか。今回は、意外と知らない日本の銘茶の種類と、それぞれの特徴の違いについて解説します。

日本三大銘茶とは

日本三大銘茶は、数あるお茶の中でもより上質で優れたものを指します。

静岡・宇治・狭山のお茶を総称したもの

日本三大銘茶とは、静岡県の静岡茶・京都府の宇治茶・埼玉県の狭山茶を総称した呼び名です。

「狭山茶摘み歌」の一節では「色は静岡、香りは宇治よ、味は狭山でとどめさす」と歌われています。

この歌から、日本三大銘茶といえば静岡・宇治・狭山という認識が広まったと考えられます。

お茶の生産量が多い都道府県はどこ?

三大銘茶は質の高いお茶を指した呼び名であり、お茶の生産量が多い地域と必ずしも一致するわけではありません。

農林水産省の調査によると、2023年度のお茶の生産量ランキングは以下のような結果でした。

お茶の生産量ランキング
1位 静岡県 27,200t
2位 鹿児島県 26,100t
3位 三重県 5,220t

※生産量は荒茶(生の茶葉に蒸し・揉み・乾燥加工を施したもの)の量で算出

出典:茶をめぐる情勢 令和6年3月(農林水産省)
https://www.maff.go.jp/j/seisan/tokusan/cha/attach/pdf/ocha-78.pdf

近年は鹿児島県の生産量が非常に多いことから、三大銘茶に鹿児島県南九州市で生産される「知覧茶」を挙げる場合もあります。

日本三大銘茶はそれぞれどう違う?

味・香りともに最高品質と言われる三大銘茶ですが、それぞれのお茶にはどのような特徴があるのでしょうか。以下で詳しくご紹介します。

静岡茶の特徴

静岡県は、地域ごとに違う茶葉やブランドがあるのが特徴です。

深蒸し茶が主流で、川根茶・本山茶・掛川茶などが広く知られるブランドです。

静岡茶は、鎌倉時代に静岡出身の僧侶・聖一国師が宗からお茶の種を持ち帰り、栽培し始めたのが最初だと伝えられています。

温暖で雨の多い気候が茶葉の栽培に適していることから、毎年全国トップクラスの生産量を誇ります。

ITI(旧iTQi)国際味覚審査機構で二ツ星受賞 【静岡・掛川茶】 かごよせ 100g

宇治茶の特徴

宇治茶は、京都・奈良・滋賀・三重で栽培されたお茶を指し、玉露・抹茶の生産量は全国1位です。

最初に渋みを感じ、甘さとコクが後からやってくる奥深い味わいが特徴です。

京都は古くから茶の湯が盛んで、日本のお茶の始まりの場所とも言われる土地。

長い歴史の中で生まれた独自の「宇治茶手もみ製茶技術」は、宇治市の無形文化財にも指定され、現在まで大切に受け継がれています。

狭山茶の特徴

狭山茶は、埼玉県狭山市周辺で生産されるお茶です。

濃厚なうま味で高い評価を得る狭山茶ですが、その秘密は狭山火入れ(さやまびいれ)という特有の仕上げ工程にあります。

比較的寒冷な土地で育つ狭山茶は、茶葉が他のものに比べて分厚く、強い火入れによってさらに味や香りに深みが増します。

1年に2回ほどしか収穫できないため、年間の流通量としては少ないものの、狭山茶特有の香ばしさを好む人はとても多いです。

静岡茶のおすすめブランド

三大銘茶の中でも、昔から日本人に親しまれてきたのが静岡茶です。静岡三大地域ブランド茶である川根茶・本山茶・掛川茶について、それぞれの味の違いや特徴を解説します。

川根茶

川根茶は、静岡県中部の大井川流域で生産されます。

美しい黄金色で、さわやかな香りと渋味の少ないバランスの良い味が人気のお茶です。

400年以上の歴史を持ち、古くは徳川幕府の三代将軍・家光に献上されたという記録も残っています。

品評会で数多くの賞を受けている川根茶は、お茶業界でも高く評価されています。

本山茶

本山(ほんやま)茶は、静岡県中部の安倍川上流域で作られます。

まろやかな甘みと旨味、そしてお茶本来の苦味が調和した味わいが特徴で、徳川家康も好んで飲んでいたと伝えられています。

静岡茶の中でも本山茶は最も古い歴史を持ち、800年以上も人々に親しまれてきました。

ミネラル豊富な土壌があり、寒暖差の激しい山間部で育てられる本山茶のおいしさは「天然の玉露」とも呼ばれます。

掛川茶

掛川茶は、静岡県中西部の掛川市で栽培されるお茶です。

川根茶や本山茶は古くから知名度が高く、量販店にも広く流通していますが、近年はテレビ番組で取り上げられたことをきっかけに「掛川の深蒸し茶」も有名になりました。

NHKの健康番組では、抗酸化作用のあるβカロテンや免疫機能改善効果があるビタミンEが掛川茶に多く含まれることから、静岡県民の長寿の秘密として紹介されています。

世界農業遺産に登録された「茶草場農法」を伝統として受け継ぐ掛川茶は、お茶の品評会で産地賞を数多く受賞し、その甘く濃厚な味で多くの人に愛されています。

天皇杯受賞・静岡県最優秀に輝いた茶師仕上げのお茶 【静岡・掛川茶】双葉摘み 100g

まとめ

日本三大銘茶は、産地の気候や製法が生み出す独自の味わいが魅力です。

それぞれのお茶にまつわる歴史や伝統を知ると、ますます日本の茶文化の豊かさを感じられますね。

今回の記事でご紹介した三大銘茶の特徴をもとに、今後のお茶選びではぜひ産地やブランドに注目して、自分好みの一服を見つけてみてはいかがでしょうか。

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